男の楽園 女の地獄

どちらかと言えば女性向け?官能小説 7/23

物思い

緒方は、軽いランチを済ませてからスカッシュをした。

そうやって運動を怠らないせいか緒方はとても引き締まった体躯をしている。

シャワーを浴びて、コールドコーヒーを飲みながら

茉莉に意識がさまよう。

(私としたことが・・本気に・・なってしまったかな・・)

茉莉の消えない清純さ、清楚さ、純粋さはなかなかあるものではない

つつましやかさ、はかなさ、気品と憂愁 抑えに抑えた中からにじみ出る色香・・

まして、ここでこんな目にあい、それでも茉莉の清純さはそのままだ。

「持ち帰り・・」

考えないこともない

だが、バカな娘と違って茉莉には知性がある。

奴隷は販売するものも買うほうも罪人だ。

茉莉が従順さを示しても、罪人を茉莉はどう思うだろう?

あるいは 聖母マリアの心で許すか・・

アヴェ・マリア・・

マグダラの娼婦 マリア

茉莉 お前はどっちなんだ・・?

ここにきてこれだけの目にあって・・

それでもお前は真実から目を背けないだろう・・

運命に逆らうことも、抗議することも知らない、ただただ耐える女・・

それでいて何物より強い、風雪よりも強く気高い愛を抱きしめた聖女・・

いるわけがなかった・・現実に・・

ビッチなら「快楽堕ち」などもあるが・

茉莉に 真実の意味以外での「快楽」はないように思う・・

アヴェ・マリア・・

もう一度 呟く

男を膝まづかせる存在・・

僕は茉莉に苦痛を与えながら、苦痛を感じていくのだろう・・

茉莉・・どうしてお前のような女がいるのか

どうして僕は夜空の月のように・・手に入らない存在に・・

(これまで誰ともそばに寄せず、愛さず、愛されず・・孤高の孤独を遠してきた私が・・)

・・・・

(その後の独白を、緒方は止めた・・)