男の楽園 女の地獄

どちらかと言えば女性向け?官能小説 7/23

会話

「茉莉は全く眠り姫だな。寝てばかりいるんじゃないか?」

眼を覚ました茉莉に、新聞を読んでいた緒方が揶揄するように声をかけた。

確かにここに来てからの茉莉は・・プレイか寝ているか・・だったような気がする・・

「夕食はどうする?僕はあまりお腹がすいてないんだが・・?」

「あ、私も・・」

茉莉の答えを緒方は予想していたらしい

「じゃあ ルームサービスで軽く済まそう」

なにか軽食をたのんでいるようだ。

「その ガウン似合うね・・」

「あ、ありがとうございます・・」

茉莉には戸惑うことばかりだった。

緒方が何の気まぐれを起こしたのか・・

「茉莉は・・」

(本音どう思っている・・?)

緒方は聞けなかった。

当たり前に考えれば答えは、すぐ出る・・

が、・・・

「ご主人様?  今日は色々気を使ってくださいまして

ありがとうございました」茉莉が小さく笑顔を見せる。

緒方は逆にうなだれた。

これが、その辺の女だったら・・今までの奴隷扱いから一転変貌の例になるが・・水に流したうえで「今回の件」について礼を言っている。

好きで来たわけでもないホテルで・・

何人の女が 人間が ここで「Thank you 」が言えるだろう?

無邪気な「Thank you 」を。

そして・・この笑顔・・笑顔が見たかったんだな・・

(私の 本心は・・)

頼んだ軽食には茉莉が以前、おいしいといった「フルーツ盛り合わせ」もある。

茉莉はさりげなく察した。

Thank you so much・・

これは茉莉のつぶやきだ。

緒方には聞こえていないだろう・・

二人の無言に近い時間・・

(緒方には はっきりと茉莉のつぶやきが聞こえていた・・

ここに来る寸前、スイスの花嫁学校に在籍していた茉莉にとって本音は 英語のほうが語りやすいのかもしれない・・

それだけに かえって「please」と「Thank you」 を自然に使いこなす茉莉に圧倒される。キリスト教の博愛精神を受け継いでレディーの「貴方を受け入れます・・」と感謝を自然にできるというのが 確かダイアナ妃が出た学校の理念だったはずだ・・)

(そんな 茉莉だからこそ 僕は・・)