conversation
茉莉は夜明けにそっと自分のベッドに戻った
自分の行動がわからない・・
ただ・・夢を見たのだ・・
緒方が・・何か穴に引きずりこまれる夢・・
死ぬかもしれない夢・・
あのとき、うなされていた緒方を現実世界にひっぱりあげる方法を他に思いつかなかった
茉莉とて夢中だったのだ・・
私は・・?
茉莉はもう一度、眠りについた
そんな茉莉を緒方が見下ろしている・・
茉莉 お前はどういうつもりなんだ・・?
口にだせない問。
その朝、朝食を運んできた緒方の乳母だと名乗る老婆は、茉莉を上から下から見てため息をついた。
「事情が事情だから、スムーズに運ばないのはわかってたが・・一郎ぼっっちゃんもああ見えて不器用だからねえ・・」
ため息をつく。
「あんたは、早くそのご飯を全部食べれるぐらいに回復することだよ・・そしたら坊ちゃんの心配が一つ減る・・」
「あの、どうしてそのようなことを・・?」茉莉が尋ねる。
茉莉の無邪気な眼を見て老婆は首を振った。
「まいった・・無邪気に勝てるものはないねえ・・」
結局、良くわからない言葉をのこして老婆は出ていく。
茉莉は、だいぶ痛みを感じなくなった体をそろそろ動かしたいと思い、朝食を下げに来たメイドに庭を散歩して良いか聞いた。
メイドは喜んで「もちろんですよ 旦那様への良いご報告になるわ」とクローゼットをあけ、そこには茉莉のための下着から服から靴からバッグから、こんなにいらないというほどそろっていた。
「お散歩でしたら、このサンドレスとサンダルでは? 日傘もお持ちくださいね。せっかくの白い肌なんですから」
と、ブティックの店員のようなメイドに案内されることになった。