Serenade
茉莉はメイドから普段、この緒方家ではダイニングで食事をしていると聞かされ、今まで運んでもらっていた食事を断った。
クローゼットにはあふれるほど服がある。
茉莉はそのなかからシンプルな1枚を選び、緒方が帰ったら一緒に食事をとるとメイドに告げた。
メイドは喜んだようで、緒方の大体の帰宅時間 普段の緒方の習慣を教えてくれた。
帰宅した緒方が見たのは、窓を少し開け月を眺めている茉莉だった。
「ああ、一郎さん、おかえりなさい。今日は月が綺麗ね、]
茉莉の言葉に息を飲む。
「お食事の用意はできてるそうよ。すぐ行かれる?それともお疲れかしら?」
「ああ・・」緒方のほうが戸惑っている。
「今日は庭を散歩したそうだね、大丈夫だったかい?]
「ええ・・とてもきれいなお庭ね・・見飽きなかったわ」
さりげなく茉莉が緒方の腕に手をまわし、
二人はいつも前からそうしていたかのように、ダイニングの席に着いた。