男の楽園 女の地獄

どちらかと言えば女性向け?官能小説 7/23

展開

茉莉は日をおって回復しているようで、昼間は外をあちこちで歩いている様子だ。

緒方と茉莉が顔を合わせるのは、夕食時ぐらいしかなくなったが、茉莉のほうが今日は〇〇方面を歩いたなど笑顔で報告していた。

が、緒方のほうが日ごと顔が暗い。

茉莉は困ったように、食事が終わったころ、

「一郎さん 良かったら今日は少しワインでも、食後の時間を楽しまない?」と声をかけてきた。

茉莉の部屋も3室続きの居間・ベッドルーム・ドレッサーバスルームに分かれている。

茉莉は自分の居間に緒方の手を取って導いた。

ワインで乾杯して、茉莉は緒方を覗き込む。

どうしようかためらうように「一郎さん・・あの・・今日ね住み込みの食堂の手伝い募集を見かけたんだけど」

緒方が、とたん反応する。

「茉莉には無理だよ そんな仕事・・立ち仕事などしたことないだろう!?」

「でも、誰でも最初は初めてよ?」

言いながら、緒方が頭を抱え込む様子を見ていた。

(この屋敷からして彼が相当の金持ちなのは想像がつくけど・・)茉莉は軽く吐息をついた

「僕は失敗人だ・・誰も愛さず愛されず・・それでかまわないとやってきた・・

やっと見つけた宝石も・・今までの罪の報いで失うのか・・・」

血を吐くような告白を聴いて、ソファから立ち上がり茉莉がそっと緒方の前に座る。

「一郎さん・・これからでもいくらでも間に合うわ」

瞬間、茉莉は緒方にすくいあげられるように緒方の膝に乗せられて骨もおれんばかりに抱きしめられていた

「茉莉 アヴェ・マリア・・ 僕を見捨てないでくれ・・」

(この人は 私を偶像に見立てていたのかしら・・?)

それでも 敏感な茉莉はここで、拒否するのがどれだけ残酷かもわかった・・

「大丈夫だから・・」茉莉が緒方の腕の中で優しく言う。

それから続きドアをあけて

緒方の背広を脱がせハンガーにかける

メイドがすでに着替えを用意しているのを見ると、することはないと茉莉はそっと出て行こうとした。

が、するどく手首をつかまれ「そばにいてくれ・・」

そのままシャワールームに入る。

茉莉は困ったように、緒方のベッドルームで色々珍しそうに部屋を見渡していた。

シンプルで高級なデザイン。

かなり手ばやくすませたらしく 緒方はすぐに出てきて、茉莉を抱き上げてベットへ運んだ。

「何もしないから・・」緒方の囁くような声。

その夜、緒方は何もせず、ただ後ろから茉莉を抱きしめて眠った。

多分、これは彼にとって必要な眠り・・

茉莉もワインの効果もあって眠りに落ちて行く。

この、お互いに遠慮しあいながらのカップルはどこに落ちつくのか・・?