信頼
緒方は、食堂へはとりあえず「茉莉が落ち着いてから」と連絡し向こうも事情を考慮して「私たちも心配してますから 元気になったら連絡もらえればうれしいです」
と優しかった。
結局、茉莉は一晩入院し、緒方に抱かれて戻ってきた。
茉莉らしく、すでに緒方家の使用人の心をつかんでいる彼女は、緒方がだきあげて部屋へ連れていくのを心配そうに見守った。
それからの茉莉は情緒不安定で、緒方にそばにいてほしいと懇願することが多くなった。
緒方とて、それは嬉しい。が、男でもある。
今の茉莉に何もしていけないことはわかっているが、茉莉の望むまま 夜は抱いて一緒に寝てほしい・・と哀願する。
見捨てておけないが、緒方にとっても試練だった。
「一人」が恐怖なのだろうと察しはつく・・
茉莉・・
お前は私の罪にまだ 罰を与えるのか・・?
アヴェ・マリア・・
君の願いなら何でもしよう・・
それは私を救うことでもあるのだから・・